【コラム】カスハラ対策強化に関する動向

カスハラ対策に関し、令和7年6月11日に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(以下「労働施策総合推進法」と言います。)が改正されましたが、その施行日が令和8年10月1日に迫っています。

従前、同法により、事業主の責務として「雇用管理上必要な措置を講じること」が掲げられていましたが、その詳細を定める指針を見ると、カスハラ対策は、「望ましい取組」の一つという程度にしか位置づけられていませんでした。

しかし、その後、厚労省や自治体が中心となって積極的にカスハラ対策強化に向けた施策を進めてきた中で、この度、労働施策総合推進法が改正されるとともに、新たに指針(事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針・令和8年厚生労働省告示第51号)が定められ、カスハラ対策についても事業主の義務になったという経緯になります。

昨今の労働関係法や関連通達の改正はめまぐるしいものがありますが、時代の移り変わりを反映した内容であり、それだけ労働者を保護する必要性が高い状況ということでもありますので、経営者の皆様も変化に置いていかれないように注意が必要です。

本コラムでは上記指針の概要のみ掲載しますが、詳細については厚労省ホームページなどからご確認くだされば幸いです。

厚労省関連HP:

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

上記指針PDF:

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf

 

 【事業主が講ずべき措置等の概要】

1 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容

(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

(2)相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

(3)職場におけるカスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

(4)職場におけるカスタマーハラスメントへの対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置

(5)(1)~(4)までの措置と併せて講ずべき措置

  イ 相談者等のプライバシーの保護のために必要な措置を講じ、労働者に周知すること

  ロ 相談をしたこと等を理由として不利益扱いされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

2 他の事業主の講ずる雇用管理上の措置の実施に関する協力

(1)事業主は、他の事業主からの協力の求めに応ずるように努めなければならない

(2)事業主は、他の事業主からの協力の求めに応じて、労働者へ事実関係の確認等を行うに当たっては、これに協力した労働者に対して、解雇その他不利益な取扱いを行わない旨を定め、労働者に周知・啓発することが望ましい

3 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関し行うことが望ましい取組の内容

(1)職場におけるカスタマーハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための取組

  イ 労働者が自社の商品やサービスをよく理解し、顧客等への対応力の向上を図るために研修等の必要な取組を行うこと

ロ 労働者が顧客等への理解を深めるために必要な取組を行うこと

(2)労働者や労働組合等の参画を得つつ、アンケート調査や意見交換等を実施するなどにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等に努めること

(3)業種・業態等における被害の実態や業務の特性等を踏まえて、それぞれの状況に応じた必要な取組を進めること、同じ業種・業態等の複数の事業主が一体となって取組を行うこと

(4)事業主や労働者から他の事業主が雇用する労働者に対する言動について、職場におけるカスタマーハラスメントを行ってはならない旨の方針を併せて示すこと

4 事業主が職場において行われる自らの雇用する労働者以外の者に対する顧客等の言動に関し行うことが望ましい取組の内容

  職場における当該事業主が雇用する労働者以外の者(他の事業主が雇用する労働者及び個人事業主等の労働者以外の者)に対する顧客等の言動についても、方針を併せて示すこと

 

改正の概要は以上です。

経営者の皆様は、ふとしたきっかけで労基署から指摘を受けることのないよう、こまめに法改正をチェックし、時には専門家に相談されることをお勧め致します。

以 上

(西原宗勲)