【コラム】個人情報保護法改正

  近年、国民の個人情報に対する関心は、年々高まっているものと思われます。

 そのような中で、個人情報の保護に関する法律(いわゆる「個人情報保護法」)に関しては、経済や社会の進展に伴い、個人情報の利用が拡大していることを踏まえ、3年毎に見直しが行われるようになり、直近では、間もなく令和4年4月1日に改正法が施行される予定となっております。

 そこで、この度の改正により、どのような点が変更されるのかにつき、主な改正事項を紹介します。

 

1.個人の権利の在り方

   まず、従前より、個人情報保護法では、“本人は、自身の個人情報を取り扱う事業者に対して、不正取得された情報や利用目的の範囲を超えて利用されている情報等につき、利用停止や消去等の請求を行うことができる”ことが規定されています。

   もっとも、改正法では、本人が利用停止や消去等の請求を行える場合として、「違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある」場合が追加され、現に違法行為等が行われるよりも前の時点で請求可能となります(改正法第35条1項)。

   また、従前の法律では、6ヶ月以内に消去される短期保有データに関しては、情報開示や利用停止等の対象である、「保有個人データ」には含まれないとされていました。

   もっとも、改正法では、上記短期保有データも「保有個人データ」に含まれることとなり(改正法第16条4項)、短期間で消去される情報に関しても、情報開示や利用停止等の請求を行うことが可能となります。

   このように、令和4年4月1日の施行により、個人の権利保護の規定がより一層強化されることが確認されます。

 

2.事業者が守るべき責務の在り方・ペナルティの在り方

   また、今回の改正に伴い、個人情報を取り扱う事業者の責務として、情報漏洩等により個人の権利利益を害するおそれが大きい場合に、個人情報保護委員会に対して報告する義務が課されることとなります(改正法第26条)。

   これまでは、情報漏洩時の報告の有無は、各事業者の判断に委ねられる状況でしたが、一定の場合に報告義務を課すことで、事業者の責務が高められております。

   また、個人情報保護委員会による措置命令への違反や、同委員会に対する虚偽報告等に関する法定刑も引き上げられ、事業者に対するペナルティも加重されることとなります。

 

 上記のとおり、個人情報の取扱いに関しては、より一層慎重な対応が求められるようになりますところ、社会の動向や法律の運用状況等につき、今後も注目していきたいと思います。