【コラム】養育費に関する民法改正(本年4月1日の施行日に向けて)

 約1年前のコラム(2025年3月1日更新)でもご紹介しておりますが、令和6年5月17日付で民法等の一部を改正する法律が成立しており、その施行日が本年4月1日に迫っております。

そこで、今回は改めて、かかる改正項目のうち、主に養育費に関する部分について、ご紹介させていただきます。

 

1.法定養育費

まず、以前もご紹介したとおり、今回新たに、法定養育費制度の導入が始まります。

これによって、父母の協議や家庭裁判所の手続など、具体的な養育費の金額について取り決めが整っていない状況でも、一定金額での養育費の請求が可能となります。

すなわち、離婚時から引き続き子どもの監護を主として行う父母の一方は、法定養育費の範囲内であれば、原則として、離婚の日から毎月の法定養育費を請求することが可能になるという変化が生じます。

(※現状、法定養育費の金額は、子ども1人あたり月額2万円と予定されている様子です。)

 

2.強制執行

現在の民法では、父母の間で私的に養育費に関する取り決めを行っていたとしても、その養育費の支払いが滞ったとして強制執行(財産の差押え)を行う場合には、債務名義(公正証書、調停調書、審判書など)が求められるため、まずは債務名義を取得するための手続が必要となります。

もっとも、今回の改正によって、4月1日以降、養育費債権には「先取特権」と呼ばれる権利が付与されます。

これによって、上記のような債務名義が無くても、先取特権の範囲内での強制執行が可能となるため、裁判所を介さずに父母間で私的に作成した書面(養育費について取り決めた際に作成した書面)をもって、一定の範囲内での強制執行を行うことが出来るようになり、現在よりも養育費の回収手続が行いやすくなるものと見込まれております。

(※現状、養育費債権に付与される先取特権の上限額は、子ども1人あたり月額8万円と予定されている様子です。)

 

3. 裁判手続の利便性向上

また、債務名義に基づく強制執行をする場合には、原則として、

①財産開示の申立を行った場合には、それと同時に、財産開示手続によって債務者が開示した債権に対して、差押命令の申立を行ったものとみなし、

②情報提供命令の申立を行った場合には、それと同時に、同申立によって判明した債権に対して、差押命令の申立を行ったものとみなす、

ことになる等、1つの申立を行うことで、その先の差押命令の申立まで進めたこととなるので、執行手続がワンストップ化して、申立人側の負担軽減に繋がるものと期待されています。

(改正後の民事執行法第167条の17)